「懐靴 Kazuo」

2016.05.10 ~

伝統的なプレーントゥダービーですが
靴職人としての情熱を込めた
感慨深い一足です。

靴の師匠 花田和夫氏が作った手縫い靴は
お渡しした時点が終着点ではなく、
どんなに履き込んでも型崩れせず、
修繕しながら30年、40年と時を過ごし
お客様の足にも心にも寄り添う靴でした。

懐靴 Kazuoは靴の技術だけでなく、
職人としての責任やあるべき姿を学び、
自分なりの信念を形にした最初の靴。

サイドは4本のステッチを走らせ
羽根の基部にはハンドステッチを。
負荷の掛かる箇所は徹底的に強靭に
負荷の掛からない箇所は柔軟にと
理想的な筋肉にヒントを得ています。

踵回りは花田氏のデザインを踏襲。
チョッポといいます。(たぶん死語です。)
着脱によって磨耗し易い箇所なので修理時、
靴を傷めずに交換できるよう単独構造にしています。
パーツには飾るだけじゃなく一つ一つに意味があります。

羽根の位置を少し後方にずらして
ラストのフォルムを強調しています。

時間の経過で変化する足の大小に
靴紐の締緩で対応できるのが
ダービーシューズの最大のメリット。

デザインは普遍的でありますが、
少しのアンバランスで違う表情に。

奇をてらうのではなく
規則の中で最大限、遊ぶ。
学んだ事に楽しさをインサート。

伝統を守る職人が多い世界において
僕達の役目はここにあると思います。

履く、愛でる、修繕する。
そしてまた履く。

花田氏からの学び。
初心を忘れずに日々精進。

竜崇縫靴店