最近、革との付き合い方に思うところがあり変えていこうと考えてます。

理由としては靴づくりに打ち込む中で感じた革質の変化と自分達が想い描く理想の靴が乖離しはじめたので、扱う革を一度見直すことにしました。手始めにDu puy lining calfは現在のストックで終了です。

今まではKUDUをメインにGUIDI vitello fioreとCamel leatherを、ライニングにはDu puy lining calfを『定番』と言って使用してきましたが、そもそもが限りある動物の命のもとで成り立っている素材ですし、定番というのもおかしい話。

縁があって私達の手元にやってきた革それぞれの特色を皆様に最大限お伝えして、納得いただける最適な靴をお仕立てしたい。十年ほど靴づくりをしてきた今、強く想います。その方がきっと動物達も喜ぶはず。

なんだかややこしいなぁと感じられるかもしれませんがご理解いただいた上で、製作する私達とご一緒に楽しんで貰えると幸いです。

前置きが長くなりましたが、以下が現在のストックの状況です。
-2023.5.19.22:00 更新-

『Upper leather』

Charles・F・Stead / KUDU #ridge ×1

竜崇でKUDUを使用し始めてから5年経ちましたがその中でも抜群の個体。手触りの滑らかさ、柔らかな足当たり、強度あるしなやかさが◎ 波打った跡は巻皺で柔軟さを物語っています。約3足製作可能

GUIDI&ROSELLINI / vitello fiore #nero ×1

トラ(皺)が激しめに入っているところとそうじゃないところの差異が面白くて個性のある育ち方をしてくれそう。細かな傷や虫刺されが少なくオイルがしっかり含まれた上質な個体。 約3足製作可能

GUIDI&ROSELLINI / vitello fiore #cachi ×1

イタリアではカーキをcachiと記すみたい。
こちらが今回分の中で一番面白いレザーです。イレギュラーというかエラーというか。nero(イタリア語で黒)でオーダーしたはずが完全にカーキ。従来のものより硬さに芯があるので、おそらく染色工程でしっかり色が入りきらなかった様子です。革質はとても良くて、いつものvitello fioreが霜降りのサーロインならこのcachiはランプやイチボの赤身肉みたいな感じ。あぁ…焼肉食べたいな。
硬さのある革に耐性を持つ、例えば新品のワークブーツを育てた経験をお持ちの人にすごくお勧めです。 約4足製作可能

Unkhown / Camel #black ×2

無銘ながら安定して上質な駱駝。

今回のブラックは少し青みがかっており駱駝特有のムラが際立って美しい。約3足製作可能

『Lining leather』

Charles・F・Stead
/ Doeskin #EBONY ×1

Charles・F・Stead
/ Doeskin #BRANDY ×1

Unkhown
/ Goat washed shrink #black ×4

Doeskin(雌鹿)とGoat(山羊) は、視覚とともに触覚を刺激してくれる。本来はアッパーに使用する素敵なレザーをライニング用に選びました。文章で説明するのめっちゃ難しいのでこちらは実物をご覧いただきながら詳しく説明いたしますね。

別れと出会いは表裏一体。

今ある革で靴をつくれる再合わせを噛み締めながら、これから出会うであろう新たな革で竜崇の新たな魅力をお見せできればと思ってます。どうぞお楽しみに。

竜崇